友引の葬儀
長い長いお休みをいたしました。
7月中旬、右足の骨を骨折し、松葉杖と車椅子の生活をさせて頂いておりました。
そのことについて、少し触れてみたいと思います。
7月のある土曜日、いつものお客様をお訪ねしておりました。前週はご親族のご不幸でお会いできなかったのですが、いつも元気でにこやかなお姉さまとおふたりが、ぐったり疲れ切っているご様子でした。特に、お姉さまはとても酷い浮腫みが出ているようでした。
叔父様の危篤の知らせを受け、急ぎ姉妹二人で病院に向かわれたとのこと。叔父様はたいせつな家族やご親戚とそれぞれに最後の会話を交わすことができ、また姉妹は最後を看取ることができたことに納得されていたそうです。
通夜は叔父様のご自宅で催されたようで、葬儀までの間ご遺体と共に過ごされても、何も感じることがなかったのに、「火葬した日の夜から、ゾクゾクして人の気配や話し声がして眠れなかったんです!もう、身体が今もきつくて仕方ない」と。
特に感受性の強かったお姉さまには、亡き親戚たちの会議のような話声がずっと聞こえていたとのこと。「もう、身体がしんどくてどうにもならない。」お姉さまの体調の悪さは、この時から始まったそうで、帰宅するまでの毎晩、お二人でお経を唱える夜が続いたそうです。
よく成仏できない魂があるといいますが、この多くはご自身が亡くなる際に、この世の未練や執着を残す魂がこの世を離れられずに彷徨っています。ウチには未成仏霊を極楽浄土へ導いて下さる阿弥陀様がいらっしゃるので、何か憑いてきておられるなら、またついて私に来られるかもしれないなぁと思っておりました。
それにしても、この叔父様はご家族や親族ときちん言葉を交わしこの病についても納得をしておられたようですし、お通夜まで何事もなく過ごせたことから、どうも叔父様が原因とは思えません。おふたりにお塩とお酒でのお浄めをお勧めしたあとで、ふと思い出されて話されはじめました。
「実はね、お葬式が友引の日だったんです。良くないと聞いたことがあると思ったけど、ご家族の都合だからそれ以上言えなかったんです。」
今どきは、友引でもお葬式をあげる(火葬場があいている)地域があるそうですが、そちらもそうだったようです。
その日、疲れていたせいか、そのことを阿弥陀様にお願いするのを忘れて休んでしまいました。その翌日の日曜日、出かける用意をしていた矢先、私は自宅で転倒し、ひどい捻挫から右足甲の外側を骨折しました。やっぱり・・ついて来てた・・・と前日夜の失念を猛省してもあとのまつり。
自動車を運転できる家族が不在でしたので、休日診療を受けてもらえる病院を探し、あわててタクシーで受診したところ、全治3ヶ月の診断。幸い入院は不要でしたが、松葉杖での生活となった次第です。
友引の葬儀と骨折の因果関係は、これといった証拠を示せるわけではないのですが、松葉杖をついて師を訪ねたところ、昔の言い伝えにあるように、友引には亡くなられたご本人ではなく、黒い邪鬼のようなものが現れ、3人の魂を引っ張ると聞きました。
幸いなことに、私はうちにおられる阿弥陀様をはじめ仏様のおかげで生命を取られることなく、お薬師様の御縁で、良い医師と理学療法士に恵まれ、順調に回復することができ、師によると今回の骨折でこの1人分がクリアされたとのことで、まずは一安心。後々のお話しを聞くと叔父様の隣家の犬が、亡くなられていたようですが、お身内に何事もなく、良かったと思うばかりです。
こういった迷信と思われるようなことも、昔からの言い伝えには、非常に意味があること、また歩けることの有り難さ、協力してくれる家族の有り難さを知る大切な3ヶ月で、私にとっても、この姉妹のお客様にとっても、とても大きな学びをさせて頂きましたので、あえてこちらに掲載させて頂くことにいたしました。
現代を生きていく中で、仕事上の都合やお付き合い上の都合などもあるかも知れません。けれども、こういった言い伝えを迷信とばかりに、目や耳を閉ざしてしまうことで、葬儀で見送られる故人にとっても、また残されるご家族にとっても、思わぬ災難に巻き込まれ、せっかくのお見送りの儀礼が、嫌な思い出になりかねません。耳を傾けることで避けられる災難もあるということをぜひ知っていただければと思います。