そむけるな 目を背けてはならぬ

【御言葉】
とこしへに生きて行くものたれば
神に至れし道は これに続き
良き行ひをすると 神に至れりとは
これ あながち 誤ちとは言わぬが
人の心の ありとあらゆるを知りて
これをまた 捨て去らんと
する者の心 知らずして
たれを 神と呼べようか。

人を知りて 人を学びて 人に至れたり。
されば この人の世から
神世へと至らんとするならば
この人の世を 知り尽くした
神の心を知らねば なるまひて。

己れを律し 心を強め
神や仏に至れんとするも 学びたれど
泥の中にありて
這いつくばって 生き抜かんとする者の
心の有り様に 目を向けることせねば
己れの心は 豊かにならん。

そむけるな 目を背けてはならぬ。
花を咲かせる者たちの
汗と努力を 忘れてはならぬ。

大日大聖不動明王(2018/6/22 朝 仏前)

【妙心のひとこと】
時間が足らず、朝のお勤めをいつもより短めに終えさせて頂こうとしたところで、ふと頂いた御言葉です。伝教大師(最澄)様は、悉有仏性(どんな草木や虫にも仏になれる)とおっしゃいました。神仏は、どんな小さな草木や虫も、当然さまざまな生き方をしている私たちのことも知っておられます。見ておられます。神仏に手を合わせ一生懸命信心しているだけではなく、目をそむけたくなるような仕事や生活をしているような人、罪を犯した人達であっても、その中で一生懸命に一生を生き抜いていこうとする人たちが、這い上がっていこうとする姿をしっかりと見ようとしなければ、神仏の心には近づけないと言われました。まさに、力づくでも間違った人を引き上げようとされる愛情深いお不動様の御言葉だなと、感じ入りました。